コンプレッサーの吸込フィルターの重要性とメンテナンス方法
コンプレッサーの電力消費量は工場全体の電力消費量のうち20〜30%を占めると言われています。そのため、コスト削減には、コンプレッサーの消費電力を削減することが重要です。
この記事では、コンプレッサーの消費電力削減に効果的な吸込フィルターの重要性とメンテナンス方法についてご紹介します。
フィルターを適切に管理することで、効率向上とコスト削減を実現しましょう。
目次
コンプレッサーにおける吸込フィルターの役割とは?
圧縮機本体への粉塵侵入を防ぎ、圧縮空気の品質を維持する役割を持つものが吸込フィルターです。ここでは、フィルターの具体的な役割について詳しく解説します。
空気中の不純物をろ過する
空気の不純物を除去する重要な役割を果たすものがフィルターです。
空気には、塵や水分、油分などが含まれており、これらをそのまま圧縮機に取り込んでしまうと、コンプレッサーの故障または不純物を含んだエアーの供給につながります。
吸込フィルターはこれらの不純物を取り除くことで、圧縮機や周辺機器の故障防止やエアー品質を維持するため、適切に管理し、機械の寿命延長と高品質な圧縮空気の供給を実現しましょう。
コンプレッサーの故障防止
空気中には塵などの不純物が多数含まれており、これをそのまま圧縮すると、摺動部の異常摩耗やコンプレッサーオイルの汚染を引き起こす可能性があるでしょう。
コンプレッサーオイルは金属部品間に潤滑油膜を形成し、摩擦を軽減することで摩耗や破損、かじりつき等を防止する重要な役割を果たします。
しかし、オイルが汚染されると、この潤滑効果は低減し、機器の性能や寿命に悪影響を及ぼしかねません。
圧縮空気の品質を維持する
圧縮空気の品質はJIS規格(JIS B 8392)により、汚損物質、湿度及び水分、オイルの観点から清浄等級が定められています。
圧縮空気の品質は、吸込フィルターだけでなく、ドライヤーなど様々な装置を含むシステム全体で決まりますが、吸込フィルターの適切な管理は、最初の重要なステップとして、圧縮空気の品質向上に大きく影響するでしょう。
高品質な圧縮空気は、機器寿命など以外に、生産ラインの効率化や製品品質の向上に大きく寄与します。
吸込フィルターがコンプレッサーに与える影響
機器寿命の延長や省エネに大きく影響するのが、吸込フィルターの定期点検です。
ここでは、フィルター管理が具体的にどのように機器の長寿命化と省エネにつながるかを詳しく解説します。
コンプレッサーの寿命を延ばす
吸込フィルターの設置により、クリーンな空気を圧縮することが可能となり、摺動部の摩耗やオイル汚損を防止することができます。
さらに適切なフィルター清掃や定期的な交換を行うことで、より効果を上げることや維持することが可能です。
こうしたメンテナンスは、コンプレッサーの寿命を延ばし、長期的な運用コストの削減につながります。
エネルギー消費を抑える
吸込フィルターの状態はランニングコストへも影響を及ぼすでしょう。フィルターが目詰まりをしていると、吸込圧力が大きくなり、コンプレッサーの消費電力量が増大し、電気料金が高くなります。
しかし、このような状況は適切なメンテナンスにより改善することが可能です。
月に1回のフィルター清掃や年に1回のエレメント交換などを実施することで、コンプレッサー効率の改善または性能維持につながり、結果としてエネルギー消費を抑えられます。
吸込フィルターエレメントの清掃・交換手順
吸込フィルターエレメントの清掃手順は以下のとおりです。
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- コンプレッサーを停止し、主電源を切る
- 高温部の温度が十分冷却されるまで待機する
- 保護具(手袋や保護メガネなど)を着用する
- 正面扉を取り外す
- 吸込フィルターカバーの留め金具を外し、内部のフィルターを引き出す
- エアーで付着したゴミを除去する
- フィルターハウジングとカバー内の汚れをウエスでふき取る
- 水洗いした場合は良く乾燥させる
- フィルターなどに損傷がないか確認し、元の位置に取り付ける
- 吸込フィルターカバーを取り付け、留め金具で固定する
エレメント交換の場合は、フィルター取り出し後に新しいフィルターを取り付けます。清掃時の水洗いや乾燥工程は不要です。
なお、日立産機製コンプレッサーをご使用の方は、メーカーの公式サイトに説明動画がありますので、あわせてご確認ください。
吸込フィルターエレメントの清掃・交換時の注意点
吸込フィルターエレメントの清掃・交換時は、作業安全と設置環境に関する注意点を守ることが重要です。
ここでは、上記の注意点について詳しく解説し、安全で効率的なメンテナンス方法についてご紹介します。
交換時にはコンプレッサーを停止させる
清掃・交換作業を始める前は、必ずコンプレッサーの運転を停止し、主電源を切ってください。運転中のコンプレッサーの正面扉を開けることは非常に危険なため、必ず主電源を切ることが大切です。
停止直後にすぐ作業を開始するのではなく、圧力計にて内部の圧力が大気圧まで低下していること、高温部の温度が十分に下がったことを確認してから作業を開始しましょう。
これらの確認を怠ると重大な事故につながる可能性があるため、慎重に作業を進めてください。
短期間での目詰まりは設置環境の見直しが必要
目詰まりが短期間で起こる場合は、設置環境の見直しが必要です。
排気ガスや塵の多い環境では、フィルターの寿命が短くなります。対策として以下を検討しましょう。
- ダクトの設置:清浄な空気を取りこむためのにダクトを設置
- コンプレッサーの移設:排気ガスや塵の少ない環境への移設
適切な環境にコンプレッサーを設置することは、フィルター以外にも機器効率の向上や他の設備の長寿命化にも寄与する重要な対策です。
フィルターの目詰まりの頻度も参考にして、設置環境が適切かどうかを確認しましょう。
まとめ
コンプレッサーの吸込フィルターの重要性とメンテナンス方法について解説しました。
吸込フィルターは空気中の不純物を濾過することで、コンプレッサーの故障防止や高品質なエアー供給に重要な役割を果たし、機器の長寿命化や省エネに寄与します。
吸込フィルターのメンテナンス方法についても解説しましたので、現場で使用しているコンプレッサーの吸込フィルターについて一度メンテナンスしてみてはいかがでしょうか。
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