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高圧電力と低圧電力の違いは?電気料金を抑えるためのポイント

2024.10.25

高圧電力と低圧電力の違いは?

 

電気の契約には中規模以上の工場や業務用のオフィスビル向けの高圧電力と小規模店舗や飲食店向けの低圧電力があります。

この記事ではその違いについて詳しく解説した後、電力見える化から省エネにつなげる方法に加えて、契約プラン変更や電力会社の切り替え等、電気料金を抑えるポイントについて解説します。

電気料金・コストに影響を与える高圧電力と低圧電力の違いは?

高圧電力と低圧電力には主に4つの違いがあります。契約電力の範囲、料金体系、供給方法、そして敷設方法です。

これらの違いは、事業所の規模や電力使用量に応じて適切な契約を選ぶ際に重要です。

契約電力

高圧電力と低圧電力の一つ目の違いは契約電力の範囲にあります。

高圧電力

契約電力が50kW以上となるビルや工場、学校や病院などが契約できます。契約電力の決定方法は契約電力の大きさによって以下のように異なります。

  1. 小口高圧(50~500kW):実際に使用した需要電力の最大値に応じて決定
  2. 大口高圧(500kW以上):電力会社との協議で決定

低圧電力

契約電力が50kW未満となる小規模な工場や商店、飲食店などが契約できます。契約電力の決定方法は使用する負荷設備の電力容量をもとに算出するか、ブレーカー容量で決定します。

電気料金

二つ目の違いは電気料金にあります。

基本料金

両者ともに契約電力に基本料金単価を乗じて算定されますが、契約電力の決定方法が異なります。先ほどの説明どおり、高圧電力は実量制と協議制により、低圧電力は負荷設備容量からの算出やブレーカー容量で決まります。

電力量料金

こちらも使用電力量に電力量料金(従量料金)単価を乗じて算定されることは同じですが、一般的に高圧電力の単価は低圧電力の単価より低く設定されています。

供給方法

三つ目は電力会社からの供給方法になります。

低圧電力

供給電圧は低圧200Vまたは100Vになります。需要家(利用者)は電圧変換するための受変電設備なしで直接使用することができます。

高圧電力

供給電圧は6,000V以上になります。需要家は受変電設備にて所望の電圧に変換する必要があります。とくに20,000V以上の供給は特別高圧電力と呼ばれ、大規模な工場や商業ビルなどで多く使用されます。

敷設方法

最後は敷設方法になります。高圧電力と低圧電力で引き込み方法や受変電設備の要否など敷設方法が異なります。

引き込み方法

高圧電力は三相3線式又は三相4線式になりますが、低圧電力のうち一般家庭のような電灯契約の場合は単相3線式など異なります。

受変電設備

高圧電力の場合は受変電設備を用意して、電圧変換する必要があります。一方で、低圧電力の場合は電力会社の電柱の柱上変圧器や変電所等にて、低圧へ変換された電力が供給されるため、そのような受電設備や変圧器(トランス)等は不要になります。

そもそも高圧電力と低圧電力の特徴とは?

ここまで、高圧電力と低圧電力について解説してきましたが、そもそもこれら二つの特徴は何でしょうか。すでに触れた部分もありますが、ここで改めて整理してみましょう。

高圧電力には2種類ある

高圧電力には”高圧電力”と”特別高圧電力”の2種類があります。

高圧電力

供給電圧:600V超~7,000V以下
契約電力:50kW~2,000kW未満
(細かい区分では500kW未満は小口契約、500kW以上は大口契約と呼びます)
送電ロス:低圧電力より小さい
受変電設備:高圧受変電設備が必要
用途:工場や商業ビル、学校、病院など

特別高圧電力

供給電圧:7,000V超
契約電力:2,000kW以上
送電ロス:高圧電力より更に小さい
受変電設備:特別高圧受変電設備も必要
用途:大規模工場、大型商業施設など

低圧電力とは

低圧電力の特徴は以下の通りです。

供給電圧:200Vまたは100V
契約電力:50kW未満
送電ロス:送電ロスがあるため、数百メートルの範囲内で使用可能
受変電設備:不要
用途:小規模な工場や商店、飲食店など

受変電設備が不要のため、初期コストや維持管理費を抑えられる点や電力契約の申し込みから送電開始までの期間が比較的短いのもメリットです。

高圧と低圧の違いの見分け方

高圧電力と低圧電力の見分け方はいくつかあります。実はひと目見てすぐに判断できる方法もありますので、是非参考にしてみてください。

キュービクルの有無

高圧電力と低圧電力の違いを見分ける最も簡単な方法はキュービクル(受変電設備)の有無です。キュービクルがあれば高圧電力であると判断できます。

この設備には、高圧電力を、100Vや200V(時には400V)へ変圧する変圧器や、事故発生時の異常を検知する保護継電器、異常時に設備を保護するための遮断器、力率改善用の進相コンデンサなどが入っています。

通常、キュービクルは屋外に設置されるため、容易に確認できます。この方法により、専門知識がなくても高圧電力か低圧電力かを見分けることができます。

契約種別

次に契約種別で判断する方法があります。契約種別は以下のような方法で確認することができます。

請求書での確認

毎月の電気料金請求書で確認できます。

契約中の電力会社のウェブサイトなどでの確認

ウェブサイトや専用アプリに契約番号(お客さま番号など)を入力しても確認できます。

契約中の電力会社へ問い合わせる

カスタマーセンターに直接問い合わせることで確認できます。

その他にも電力メーターや、電力会社との引込線や設備で確認することもできますが、専門知識が必要となるため、ご紹介した確認方法をおすすめします。

供給電圧

最後は供給電圧になります。一般的な小口高圧の場合は6,600V、低圧電力の場合は200Vまたは100Vで供給されているため、供給電圧でも確認できます。

供給電圧の確認方法は、以下のとおりです。

契約用の電力取引メーターで確認する

電力取引メーターには変圧比が記載されているため、供給電圧を確認できます。

電気料金明細で確認する

電力会社のなかには電気料金明細に供給電圧が記載されている場合があるため、供給電圧を確認できます。

高圧・低圧を判断する基準

高圧電力と低圧電力のどちらで契約すべきか判断を迷う場合があります。そんなときは「電距離や取扱い難易度、運用コストなどを考慮する必要があります。

ここではそれらの検討項目について解説します。

送電距離

高圧受電の判断基準の一つは送電距離です。低圧電力は配線距離に制限があり、長距離配線は電圧降下のリスクがあります。

電圧降下とは、配線距離、電線の太さ、電流の大きさにより電圧が低下する現象で、電気機器の稼働に影響を与える可能性があります。そのため、大きな施設など、配線距離が長くなる場合は高圧電力が適しています。

取扱いの難易度

高圧電力は低圧電力より危険性が高く、専門知識と経験が必要です。電気事業法では、高圧受電の需要家には電気主任技術者の選任を義務付けており、この技術者が自家用電気工作物の工事や保守点検など、保安監督を担当します。

一方、低圧電力では電気主任技術者の選任は不要で、取扱いの難易度が低くなっています。

電気主任技術者の要否は、安全管理や運用コストに大きく影響します。高圧受電とすべきか検討する際は、電気主任技術者の確保や関連コストを考慮する必要があります。

運用コストや費用回収

高圧電力は受変電設備の設置が必要で、初期費用が高くなります。また、電気主任技術者の選任と保守管理が必須なため、メンテナンスコスト(固定費)も発生します。

しかし、高圧電力は低圧電力より電力量料金単価が一般的に低く設定されているため、長期的な費用対効果を考慮し、受電方式を検討することが重要です。

契約電力や使用量

契約電力が50kWを超えると一般的に高圧電力となり、低圧受電は選択できません。

一方、50kW未満では両方のどちらかを選択できる場合があります。この場合、想定使用電力量が多ければ高圧電力が、少なければ低圧電力が経済的です。

選択する際は、電気設備の容量や実際の運用方法を想定し、長期的な電気料金の削減や効率的な運用を検討することが大事です。

電気料金を節約するポイント

電気料金を削減するためには、省エネだけでなく契約プランの見直しや電力会社の切り替えも重要です。

ここでは省エネ以外の観点から電気料金の削減方法についてご紹介します。

電力使用量の見える化

電気代削減には、設備の稼働状況(どの設備が、いつ、どれくらい稼働したか)を正確に把握し、対策を立てることが重要です。これには電力使用量の見える化が不可欠です。

見える化により、設備の稼働率を削減(ピークカット)や稼働タイミングをシフト(ピークシフト)することで、契約電力を低減できます。

また、無駄な稼働や待機電力のカットで電力量料金も削減可能です。つまり、電力の見える化は効果的な省エネ対策の一歩目となりますので、導入していない方は是非ご検討してみてはいかがでしょうか。

契約プランの見直し

契約プランの見直しも電気料金削減の有効な手段です。一般的な料金メニューでは電力量料金が一律になっていますが、電力会社によっては休日や夜間の単価が低くなるプランなど、時間帯別に単価変動する料金プランを提供していることがあります。

まずは現在ご契約中の電力会社に相談し、現在適用中のメニューが最適かどうか試算してもらうことが重要です。この見直しにより、使用パターンに合った最適なプランへの変更が可能となり、大幅な料金削減につながる可能性があります。

電力会社の切り替え

契約プランの見直しと並行して、電力会社の切り替えもご検討してみてはいかがでしょうか。

2016年4月から電力自由化が始まり、大手以外の電力会社との契約も可能となりました。自社の至近1年間分の電力使用実績と契約電力、現在の電気料金メニューが分かれば、エネチェンジなどの比較サイトで、新電力を含む小売り電気事業者ごとの電気料金を簡単に比較することができます。

なかにはケーブルテレビやガスとのセット割引もありますので、一度試してみることをおすすめします。

まとめ

高圧電力と低圧電力の違いおよび、電気料金を抑えるポイントについて解説しました。

どちらの契約にもメリットとデメリットがありますので、店舗や工場など新設される際には、参考にしてください。
 

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