エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因と対処法を解説!
工場の稼働において、エアーコンプレッサーの運転管理は大切な課題となっています。
工場のコンプレッサーは、工場内の動脈ともいえる存在です。コンプレッサーが止まったり、末端配管にエアーが来ていなかったりすると、設備が運転できません。
例えば塗装工場であれば、塗装自体ができなくなります。このためコンプレッサーの圧力が正常レベルまで到達しなかった場合のチェックポイントや対処方法をあらかじめ知っておくことが重要です。
本記事では、エアーコンプレッサーの圧力が上がらなかった際の原因から対処法まで詳細に解説します。
目次
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因は?
まず、エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因を知ることが大切です。
コンプレッサーの圧力が上がらない主な原因としては、バルブの閉め忘れ、バルブや逆止弁の破損、エア漏れ、圧力スイッチの劣化や故障などがあります。
使用しないバルブの閉め忘れ
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因として多いのが、バルブの閉め忘れです。単純なミスですが、日常点検でバルブを開いたあとに閉め忘れることは少なくありません。
閉め忘れを防ぐためには、日常点検票にバルブを閉めたことを点検項目として記載することが大切です。これにより、バルブ閉め忘れを防止することができます。
バルブの破損
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因には、バルブの破損もあります。コンプレッサーのバルブが壊れると、空気を十分に吸い込めなくなるため、当然圧力も上がりません。
バルブと金具などのつなぎ部分で問題が発生することが多いため、当該部分でのバルブの破損には特に注意が必要です。
逆止弁の破損
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因には、逆止弁の破損もあるでしょう。逆止弁が破損すると流入した空気が逆流するため、コンプレッサー内で十分な圧力の空気を作れなくなります。
このため、逆止弁の定期的なチェックが大切です。定期点検項目に必ず含めるようにしましょう。
エア漏れ
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因には、エア漏れも挙げられるでしょう。
エア漏れは、バルブや逆止弁などの破損に伴って起こることが多い症状です。
コンプレッサー本体を含めて、配管系でエア漏れが起こると、漏れの箇所から圧縮空気が逃げてしまい圧力が上がらなくなります。
圧力スイッチの劣化や故障
圧力スイッチの劣化・故障も、エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因の一つです。
圧力スイッチの劣化や故障が発生すると、当初の設定圧力に到達する前に圧力スイッチが作動し、圧力が供給できなくなります。
フィルタの目詰まり
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因として、フィルターの目詰まりも問題となることがあるでしょう。
このためフィルターの汚れを取ったり、どうしても圧力が上がらない場合は、フィルターを新しいものに交換したりします。
ベルトの緩み
エアーコンプレッサーの運転において、ベルトは重要な役割を果たします。ベルトにより駆動力が円滑に働くことで、エアーコンプレッサーの正常運転が可能です。
ベルトに緩みがある場合は、ベルト交換を行いエアーコンプレッサーの圧力を正常範囲に戻します。
供給エアーの不足
エアーコンプレッサーの運転において、供給エアーの不足も問題となります。
このため、供給エアーの圧力計の数値が正常範囲にあるか日常的に点検を行い、供給エアーの不足が起こらないよう注意しましょう。
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときの初期チェックポイント
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときのチェックポイントも、見ておきましょう。
初期チェックポイントとしては、仕様の確認、圧力計の確認、エアータンクやフィルターの確認などが挙げられます。
仕様・設定の確認
初期チェックポイントとしては、まず仕様を確認しておくことが大切です。
エアーコンプレッサーの仕様に対して、供給圧力の数値に差異がなければ、その圧力で問題ありません。
また、エアーコンプレッサーの設定が当初目標値と異なっていれば、当然エアーコンプレッサーの圧力は上がりません。このため、まずエアーコンプレッサーの仕様や設定を確かめるようにしましょう。
エアーコンプレッサーは、製品ごとに使用圧力が定められていて、基本的にそれ以上圧力が上がらないようになっています。
圧力計の確認
エアーコンプレッサーの運転におけるチェックポイントとして、圧力計の確認があります。
圧力計が正常でなければ、エアーコンプレッサーは正常であるにもかかわらず圧力が上がらないと判断されることもあるでしょう。
したがって圧力計の校正は、エアーコンプレッサーの定期点検でも重要な項目です。
また法令でも、エアーコンプレッサー圧力計の校正が義務付けられているので、標準計との比較・点検を怠らないようにしましょう。
エアータンクの確認
エアーコンプレッサーの初期チェックポイントとして、エアータンクの確認も必要です。
エアーコンプレッサーの定期点検時に、エアータンク自体の腐食や漏れなどが見つかる場合があります。このためエアータンクの確認は、エアーコンプレッサー定期点検時の重要な項目です。
フィルターの確認
エアーコンプレッサーの初期チェックポイントとして、フィルターの確認も大切です。
圧力が上がらない原因として、フィルターの目詰まりもありえます。このためフィルターの汚れを取ったり、圧力がどうしても上がらない場合は、フィルターを新しいものに交換したりすることが必要です。
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときの対処法
最後に、エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときの対処法について解説します。
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときの対処法としては、まず圧力スイッチを調整しましょう。
また、逆止弁を調整したり、エア漏れを確認したりすることも大切です。これらを実施しても改善しない場合は、エアーコンプレッサー自体の交換を検討します。
圧力スイッチを調整する
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときの対処法として、まず圧力スイッチを調整しましょう。
圧力スイッチとは、設定した圧力になったときに、信号を出力しコンプレッサーを停止させ、圧力が過度に上昇することを防止する装置です。これにより、コンプレッサーや配管にかかる負荷を軽減します。
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときは、圧力スイッチを圧力が上がる方向に調整すれば、コンプレッサーを正常に運用することが可能です。
なおレシプロ式コンプレッサーの場合は、ドライバーを使って調整できます。
逆止弁を調整する
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときは、逆止弁を調整することも有効です。
逆止弁は一方方向にだけ空気を通しますが、逆止弁を調整することで、調圧圧力を上げ下げできるようになります。
圧力が上がらない場合は、逆止弁の調整ネジをレンチなどを使って時計回りに回すことで、調圧圧力を上げることが可能です。
エア漏れを確認する
コンプレッサーからのエアーは、工場内の配管系に供給されますが、もし末端でエア漏れがあると、エアーコンプレッサーの圧力は上がりません。このような場合は、最終的なエア漏れ箇所の特定が必要です。
エア漏れ箇所に到達できれば、その原因を特定して修理することができます。そのため、エア漏れの検出には工夫が必要です。
エア漏れ検査サービスを提供している会社もあるため、このようなところに相談してもよいでしょう。
協和機工株式会社では、「音の見えるカメラ」を使用したエア漏れ検査サービスを実施しています。以下の記事で検査の様子を詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
>>エア漏れ検査サービス|塗装工場の耳に頼らない検査の様子を詳しく解説します!
エアーコンプレッサーを交換する
エアーコンプレッサーの圧力が上がらないときの対処法として、本体自体の交換も考えられます。上記の対策をしても十分な圧力を得られない場合は、エアーコンプレッサーの交換が必要でしょう。
また、既存対策で調整可能であっても、10年を目安にしてエアーコンプレッサー自体を交換することが大切です。このため、工場全体の定期修理計画には、必ず使用期限のきたエアーコンプレッサーの交換計画を組み込んでおくことが必要となります。
まとめ
エアーコンプレッサーの圧力が上がらない原因から初期チェックポイントや対処法までを、総合的に解説しました。
バルブの閉め忘れなど基本的な確認不足が問題となることもあるため、エアーコンプレッサーの運転管理においては、特に日常点検が大切です。
また工場の定期点検時には、エアーコンプレッサーの点検を組み込み、さらにはエアーコンプレッサー自体の設備更新計画も立てておきましょう。