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コンプレッサーの安全弁からのエア漏れ|原因は?調子が悪いときのトラブルシューティング

2024.08.02

 

工場の稼働において、コンプレッサーの運転管理は大切な問題となっています。運転において脇役ではありますが、どうしても欠かせない存在が、コンプレッサーに付属する安全弁です。

特に、安全弁からのエア漏れは、重大な問題となることが多々あります。安全弁のエア漏れの原因や調子が悪いときの知識、対処法を身に付けておけば、トラブルシューティング時に困らずに済むでしょう。

本記事では、コンプレッサー安全弁からのエア漏れについて、その原因から対策までを詳細に解説します。

コンプレッサーの安全弁がエア漏れする原因

コンプレッサーの安全弁(写真参照)がエア漏れする原因について説明します。

まず、安全弁自体の不具合や、付属するマグネットスイッチの溶着によるエア漏れの有無を確認しましょう。

また、コンプレッサーの規定圧力値で圧力スイッチが作動しないこともあるため、いろいろな原因を考慮する必要があります。

安全弁自体の不具合

安全弁が不具合となる理由で多いのが、Oリングやシールの劣化です。シールは場合によっては、容易に傷がつき損傷することがあります。

定期点検時には必ずシールの状態を確認しておくと共に、損傷したシールは新しいものに交換しましょう。

バルブと金具、チューブなどのつなぎ部分でのエア漏れが発生することが多いので、当該部分まわりでのシール劣化には特に注意が必要です。

また、安全弁の中のテンションスプリングが劣化している場合や錆びている場合もあり、そのときは交換が必要となります。

マグネットスイッチが溶着している

マグネットスイッチ自体が溶着していることも少なくありません。この場合は、コンプレッサーの最高圧力を超えて、エア漏れが発生します。

マグネットスイッチが溶着している場合は、圧力開閉器の交換が必要です。

なお交換は、プロの修理業者に依頼することをおすすめします。純正品以外のマグネットスイッチに交換すると配線が替わることもあるため、電気工事士の資格を持った人が実施しなければなりません。

圧力スイッチが作動しない

安全弁が噴気する理由として、圧力スイッチが作動していないことも考えられるでしょう。

圧力スイッチの不具合かどうかは、コンプレッサーの規定値で作動しているかどうかで判断します。

動作していない場合や、規定値以外での噴気のときは、圧力スイッチそのものの交換が必要です。

空気弁の吸入排気が上手くいかない

以上の理由以外でのエアー噴気は、空気弁の吸入排気が上手くいっていない可能性があります。その場合も、プロの修理業者に依頼することが大切です。

安全弁が作動しないと、コンプレッサーの最高使用圧力を超えてしまい、さらにはその圧力でタンク自体が爆発する可能性が非常に大きくなります。

コンプレッサーの爆発は、大きな人身事故につながることもあり注意が必要です。

エア漏れの前に知っておくべき安全弁の基礎知識

コンプレッサーの安全弁がエア漏れする原因を見てきましたが、安全弁の仕組みや役割についても理解しておくことが大切です。

安全弁は、コンプレッサーの運転には欠かせない役割を果たしているため、その基礎知識を確認しておきましょう。

安全弁の役割とは

コンプレッサーは圧力容器でもあり、法令により厳しく管理されています。その理由は、一定限度の圧力を越えると、コンプレッサーが爆発する危険があるからです。

もしコンプレッサーが爆発すると、大事故につながることもあるでしょう。

このため、安全弁はタンク内の圧力が限界値になる前に、タンクの中の空気(気圧)を抜くよう設計されています。

 

引用:安全弁における単相及び二相流の流出挙動|日本機械学会論文

安全弁の仕組み

安全弁は、自動的に口が開いて空気圧を逃がす構造となっています(次頁の図参照)。図のように、下からの空気圧が設定値以上の高圧となった場合は、安全弁が作動し、上部が開いて、高圧エアーを逃がす仕組みです。

安全弁は、コンプレッサーの運転には欠かせません。コンプレッサーの設計圧力以上に空気が圧力上昇した場合に、自動的に外部放出をして機器の破裂や破損を防ぐ役割を有しています。

 

引用:安全弁における単相及び二相流の流出挙動|日本機械学会論文

エア漏れの前兆やサインはある?

安全弁が正常に作動しているかどうかは、定期的に確認する必要があります。安全弁の先端についているリングを引っ張るとエアーが少し噴気しますが、その音が出れば正常に作動している証拠です。

安全弁からのエア漏れを防ぐためのメンテナンス

コンプレッサーに関する定期点検は、圧力容器としての取り扱いが求められるので、毎月1回は行うようにすることがおすすめです。

エアー漏れ箇所は、増し締めや締め直しにより回復することも多く、エア漏れ箇所の点検が、コンプレッサーに起因する電力消費量削減につながります。

確実にエア漏れを検出する方法として、超音波カメラを搭載したハンディ型の機器を利用することもおすすめです。また、エア漏れ検査のサービス利用を検討してもよいでしょう。

定期的な分解清掃

エア漏れ量は診断と補修を繰り返し行うことで、徐々に少な くなる特性があります。

したがって、工場全体の毎年の保守や点検には必ず組み込み、定期的な分解清掃を行いましょう。

また、毎月1回はコンプレッサー安全弁の作動確認をしておくとよいでしょう。

シールの交換

シール交換については、定期点検やエア漏れを発見した場合など、適正な時期に実施します。

シールの破損は、主なエア漏れの原因のひとつです。継手部分のシールが切れていることがありますが、もう一度巻くことにより解決します。

すぐに修理可能な箇所は、その場で直すようにしましょう。

コンプレッサーの安全弁が作動するかの確認手順

最後に、コンプレッサーの安全弁が正常に作動しているかどうかの確認手順について記載します。

コンプレッサーを停止させて、圧力ゲージに狂いがないかを確認しましょう。

次に、リングを引っ張って安全弁が利いているかチェックし、最後に穴からエアが出ていないか石けん水を使って確認します。

コンプレッサーを停止する

コンプレッサーの安全弁の作動確認には、当該コンプレッサーを停止しなければなりません。

大規模工場など、コンプレッサーが複数台ある場合は、1台ずつ停止させて確認することが可能です。

コンプレッサーが1台しかない場合は、工場設備の定期点検日や工場が稼働していない時に、コンプレッサーのスイッチを切って停止させることになります。

圧力ゲージに狂いがないかを確認

コンプレッサーを停止したら、まず圧力ゲージに狂いがないか確認します。ゲージコックを締め切って圧力計を取り外し、基準の圧力試験機で点検しましょう。

試験機としては、基準重錘型圧力試験機(低圧力の場合は、液柱型圧力試験機)を使用します。なお当該の圧力試験機は、4年に一度の検定が必要です。

また場合によっては、他の正常な圧力計との比較テストを行います。

リングを引っ張って安全弁が効いているかチェック

次に、安全弁上部のリングが正常に作動しているか確認します。

安全弁の先端についているリングを引っ張るとエアが少し噴気しますが、その音が出れば正常に作動している証拠です。

穴からエアが出ていないか石けん水を使って確認

最後にエア漏れがないかどうかを石けん水を使って確認します。エア漏れが疑われる場所に直接吹きかけます。漏れた空気により泡が微小に動くため、エア漏れを発見することが可能です。

コンプレッサーまわりでも、石けん水が配管系等で入ってはいけない部分もあります。このような場合は、あらかじめ当該箇所をマスキングテープでふさいでから、石けん水の泡を吹きかけるようにしましょう。

まとめ

コンプレッサーに付属する安全弁からのエア漏れの原因や安全弁の基礎について解説しました。

また、エア漏れを防ぐメンテナンスについて説明すると共に、コンプレッサー安全弁の作動確認法についても記載しました。

安全弁のエア漏れの主な原因や調子が悪いときの対処法を身に付けておくと、トラブルシューティング時に大変役立ちます。

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