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コンプレッサーの圧力スイッチが故障するとどうなる?原因を詳しく解説!

2024.09.17

コンプレッサーの圧力スイッチが故障するとどうなる?

 

工場内で作業をしているとエア関係のトラブル、コンプレッサーの故障が多く見られます。

「エア不足で機械が停止した」「長時間作動し続けて熱くなっている」こうした経験をした方も少なくないでしょう。

コンプレッサーからシューッという音が聞こえたり、埃だらけになったりしているのを見かけることも多々あります。ちょっとした事象に気付くことで未然に故障を防ぐことが可能です。

本記事ではコンプレッサーの圧力スイッチの異常で故障した場合の原因と対処法、注意点を解説します。

エアコンプレッサーの圧力スイッチとは?

圧力スイッチとは、コンプレッサーの作動を自動的に切り替えるスイッチです。

コンプレッサーが一定圧の圧縮空気を供給しなくなると、機械が停止したり不良品が発生したりします。生産機械の稼働に必要なエアーを管理するシステムが圧力スイッチです。

圧力スイッチの仕組み

コンプレッサーは使用する機械の種類や機械の台数によって差はありますが、ほとんどは空気圧を0.5〜0.7MPaに設定しています。

圧力スイッチは0.5〜0.7MPaのいずれかに設定された圧力までタンク内に空気が溜まると、車のエンジンのようなシリンダーのピストン運転が止まり、圧力が下がると作動して圧縮空気が溜まる仕組みです。

コンプレッサーが自動停止や再起動を繰り返すのは、圧力スイッチの空気圧がダイヤフラムの凹凸反応を電気信号に変えてマグネットスイッチのON・OFFの指示を伝えるからです。

ダイヤフラムとはタンク内の圧縮空気に触れるように設置されており、圧力が上がると外側に膨れ、圧力が下がると内側にへこむことでタンク内の空気圧をチェックする機械的な装置です。

ダイヤフラムが外側へ膨らむとスイッチが切れて、コンプレッサーは加圧作業を停止し、同じように内側へへこむと圧力不足を検知して加圧作業を再作動します。

圧力スイッチの役割

ダイヤフラムなどの圧力スイッチはコンプレッサーの全ての部品の安全と効率化を担っています。圧力スイッチがなければ、作業者が常時タンク内の気圧の調整や容量の変化をチェックしながら電源のオンオフをしなければなりません。

もしタンクが停止せずに加圧され続けた場合は、中の空気圧によってタンクやタンクへの空気の出入り口付近などのパーツが損傷を受けて壊れるでしょう。

また、モーターやピストンも回り続けることで高温になって故障したり、作業者がやけどをしたりする要因になります。

コンプレッサーの圧力スイッチが故障するとどうなる?

圧力スイッチが故障する原因は大きく分けて2つあります。1つは電気的な故障、もう1つは機械的な故障です。

しかし問題は、原因よりも故障したことによる安全や生産性に影響が出ることに他なりません。

圧力スイッチが故障すると主に起きることは下記の3つです。

  • エア漏れが発生する
  • 自動停止しなくなる
  • コンプレッサーの再起動が鈍い

いずれも人体や機械への安全を脅かすとともに生産性の低下、不良品の発生につながります。

エア漏れが発生する

ダイヤフラムは薄いプレートをゴム素材で包み込んで作られることが多いため、プレートが内外に膨らみを繰り返すことで経年劣化します。

同じくゴム素材も空気や油との接触、ならびに使用時の温度と夜間停止時の冷却の繰り返しなどの環境の条件により硬化する傾向が顕著です。

すると本来、金属部品からなるコンプレッサーのエア漏れを防ぐ機能を備えていたゴムに、硬化により隙間やひび割れが生じてエア漏れが発生します。

圧力スイッチ部分からエア漏れの音や風を感じるのであれば、ダイヤフラムの劣化の可能性が高いでしょう。

自動停止しなくなる

最も危険な故障は圧力スイッチが故障することで自動停止がしなくなることです。自動停止しない場合はタンク内部の圧縮空気の気圧がどんどん上がります。

すると、コンプレッサーのタンクに付いているバルブなどからエアが漏れるほか、ゴムホースや配管のつなぎ目などからもエア漏れを起こすでしょう。

配管の場合は金属同士のネジ山の隙間をシールテープで埋めているだけのため、エア漏れを起こすことも少なくありません。

また、コンプレッサーのモータ―自体が焼けることもあります。さらには、タンクが劣化しているとタンク自体が破裂する恐れもあるので人的被害の注意が必要です。

タンクには圧力が高まりすぎた場合に備えて安全弁が付いていますが、安全弁自体も機械的構造なので定期的な点検を実施したほうがよいでしょう。

しかし不調であっても無理な分解・修理・接続などは技術的なミスから事故を誘発するのでメーカーに対応してもらう必要があります。

特に故障箇所がモーターなどの動力源の機器の可能性がある場合は、メーカーによる整備が必要です。

コンプレッサーの再起動が鈍い

ダイヤフラムの変形精度の劣化によって圧力スイッチの切り替えのタイミングが曖昧になる可能性もあるでしょう。切り替えによる再始動が遅くなるとエア圧不足が一時的に発生します。

エアを使っている機械がエア圧不足で停止する機能があればエア圧の異常に気付きますが、エア圧不足でも稼働し続ける機械であれば、不良品を発生させてしまう可能性もあるでしょう。

コンプレッサーの再起動が遅いことが原因の場合は、定期的な点検で症状を見ないと気付きにくいケースです。

コンプレッサーの圧力スイッチの故障原因

圧力スイッチの故障の原因は部品の劣化と定期点検などのメンテナンス不足に起因することが多いでしょう。

定期点検ではオイル交換やドレンの水抜き、フィルターの掃除などありますが、ここでは圧力スイッチに特化して見ていきます。

ダイヤフラムの劣化

圧力スイッチにあるダイヤフラムは、薄いプレートに耐油性・耐熱性・耐熱性のあるゴム素材で包み込んで作られているため、圧力によって変形する膜状の部品が少なくありません。プレートは内外に膨らみを繰り返すことで経年劣化します。

また、表面のゴム膜は金属でできたコンプレッサー部品の隙間を埋めますが、ゴムの柔軟性によってオイルなどの油密、圧縮空気やガスのような気密の機能も有しているのが特徴です。

しかし、ゴム素材も熱やオイルにて長期間接触すると硬化し、気密・油密機能が低下します。ダイヤフラムに亀裂が入ることでエア漏れ、異音、スイッチの開閉の不具合など様々なケースのトラブルが発生するので注意が必要です。

ダイヤフラムの寿命は一般的に数千時間から数万時間とされていますが、コンプレッサーに使用されている場合は、5年を目安に交換するのがよいでしょう。

もちろんそれまでの定期点検やメンテナンスで亀裂やエア漏れが発見された場合は、交換の必要があります。

ゴミ油などの付着

コンプレッサーは工場の端に設置されるケースが多いことから、ホコリや錆などの汚れが付きやすい機械です。圧力スイッチのメンテナンス方法としては、主に清掃や点検が挙げられます。

コンプレッサーはタンク内に空気を圧縮して溜めるために周辺の空気を吸引します。

また、機械の稼働にオイルが必要なためオイルと接触すること、またタンク内の圧縮空気に水滴が発生することは避けられません。

日々の水抜きや掃除を怠るとホコリや錆はすぐにオイルや水に付着してゴム素材の機能を低下させる原因となります。

圧力スイッチ含めコンプレッサーをなるべく長く使い続けるには、日々のメンテナンスは欠かせません。

圧力スイッチのカップを外して中のゴミを取り除いたり、毎日ドレンから水を抜を抜いたりする必要があります。

コンプレッサーの圧力スイッチの故障サインはある?

機械は日々の使用で劣化が進み、故障には壊れ始めの前兆サインがあります。

コンプレッサーも同じですが、前兆サインを見つけるつもりで点検しないと気付けません。作業中の点検は危険が伴うので、朝の稼働前や夕方の終業後に行うのがよいでしょう。

以下で説明する点検を日々行うことで、圧力スイッチやコンプレッサーの故障を未然に防ぐことができます。

完全に壊れてからでは作業が中断するため、コンプレッサー購入後3年ほどで、交換用の圧力スイッチを用意しておくと安心でしょう。

空気漏れの音がする

コンプレッサーのエアの充填が満タンの状態でシューッという音を探します。機械が稼働中は危険ですし音がうるさいので、始業前や終業後に行うのがよいでしょう。

また、急に再起動するとケガをする恐れがあるため、コンプレッサーの電源は切っておくことが重要です。

  1. 圧力スイッチ付近の音を聞く
  2. 次にドレンなどのバルブ付近の音を聞く
  3. 音だけでは判断しにくい場合は、水や液体洗剤を少量かける

水や液体洗剤を少しかけてみると、エア漏れしている箇所に泡ができるので判断しやすいでしょう。

さらに、最近では超音波カメラを使用して、エア漏れをチェックすることもできるようになっています。カメラに内蔵された超音波センサーがエア漏れ音をキャッチし、画面に映し出すことで、より正確で簡単な検査が可能です。詳しくは「エア漏れ見える化.com」をご覧ください。

モーターが止まらず動き続ける

圧力スイッチが故障しているとコンプレッサーのモーターが回り続けます。

まずタンクに付いた圧力ゲージを見て、適正圧力にマークした箇所を針が越えた時に自動停止するのかを確認します。

次に水抜きドレンや付属するエアガンなどでエアを排出して、圧力ゲージの針が下がるのを確認しましょう。

針が最低圧のマークを下回った時にコンプレッサーが再起動すれば正常です。逆に反応が鈍いようだと、圧力スイッチの故障かダイヤフラムの劣化が考えられます。

また再起動しない場合は、圧力スイッチだけでなくマグネットスイッチの接点不良の可能性も考慮しましょう。

まとめ

コンプレッサーの圧力スイッチは作動させるのか、停止させるのかを選択し制御する重要な部品です。

圧力スイッチ自体のマグネットや配線などの電流・電圧に関する故障以外にもダイヤフラムによる故障も多々あります。

コンプレッサーが適切に作動しないと工場内での作業が遅れたり、不良品が発生したりする要因となるでしょう。

コンプレッサーにある圧力スイッチの故障を未然に防ぐためにも日々の点検と掃除が重要です。適切なメンテナンスの習慣と記録、後進への教育を続けて、長く安全に使い続けましょう。

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