エア漏れ検知には超音波が有効!活用メリットや注意点を解説
エア漏れは、工場にとって改善すべき課題のひとつです。
放置していても深刻な問題には陥りにくいものの、電気代の圧迫や、設備への負荷の増大など、さまざまなリスクをもたらします。
そのため、可能な限り、エア漏れは早期に発見して、解決することが重要です。
そこでおすすめしたいのが「超音波」でのエア漏れ検知です。本記事は、エア漏れ検知における超音波の有効性や、活用するメリット、活用の注意点について解説します。
目次
エア漏れとは?具体的な原因について
エア漏れとは、空気圧を利用するシステム・設備から空気(エア)が漏れてしまう現象のことです。
エア漏れが発生すると、必要以上にエネルギーを消費するため、電気代が高くなってしまうことがあります。また、機械への負荷も大きくなりやすいため、動作不良のリスクも高まる危険があるのです。
エア漏れが生じる原因はさまざまですが、比較的多いのが以下の通りです。
- ホース・配管の劣化
- 接続部のゆるみ
- パッキン及びシールの損傷
- 振動による継ぎ目のゆるみ
なお、エア漏れの原因については、以下の記事でも詳しく触れています。
原因について気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:コンプレッサーのエアー漏れの原因は?確認方法と対策方法を詳しく解説!
エア漏れを超音波で検知できる仕組み
超音波を活用したエア漏れ検知は、漏れた空気が高速で流れる際に発生する高周波の音(超音波)を捉える技術です。
人の耳では聞こえない高周波の音を専用のセンサーで検知し、音の強さや発生位置を特定します。この技術を利用することで、目視では発見できない微細な漏れも特定できるため、設備の異常を迅速に検知できるのです。
また、最新の超音波検知器にはカメラ機能が搭載されているタイプもあります。数値で確認するよりも、直感的に把握しやすいことから、近年人気を集めています。
エア漏れを超音波で検知するメリット
エア漏れを検知するにあたって、超音波だからこそ得られるメリットがあります。具体的に、どのようなメリットがあるのか、以下から解説していきます。
エア漏れの状態を可視化できる
エア漏れを超音波で検知するメリットとして、まず挙げられるのが「エア漏れ状態を可視化できること」です。
超音波カメラが搭載されている製品の場合、リアルタイムでエア漏れの位置を映像化できます。検知における待機時間がないため、速やかにエア漏れ箇所を特定できるのは大きなメリットでしょう。
とくに、工場のような広い空間でエア漏れを確認する場合、超音波での検知は非常に便利です。超音波を活用すれば、点検作業を短縮できたり、メンテナンスの精度を向上できたりと、業務効率の改善にもつながります。
目視や石鹸水よりも圧倒的に早く検知できる
エア漏れを検知するにあたり、超音波を活用するメリットは、従来の方法よりも早く検知できることです。
従来のエア漏れ検知方法と言えば、目視や石鹸水の塗布などが一般的でした。コストもかからず、手軽にできるからです。
しかし、一方で「時間がかかる」「広範囲の調査には不向き」といった懸念点もあり、すべての現場で活用できる手法ではありません。
超音波での検知なら、短時間で異常が生じている箇所を特定できるため、目視や石鹸水で検知するよりも効率的です。大規模な工場であれば、とくに超音波での検知が適しているでしょう。
稼働中の機械でも検査できる
超音波でエア漏れを検知するメリットの一つが、稼働中でも検査できることです。
通常であれば、点検やメンテナンスとして、機械の稼働をストップさせる必要があります。点検担当者の安全性を保ち、なおかつ機械の故障を防ぐためです。
しかし、上記の方法では、点検中は機械をストップしているため、当然ながら生産ラインも停止します。結果的に、作業全体の生産量に影響してしまうと言っても過言ではありません。
超音波であれば、稼働した状態の機械も検査できるため、点検のためにストップする必要がないのが魅力です。
微細な漏れも特定できる
目視では特定が難しい「微細なエア漏れ」は、超音波であれば検知できる場合がほとんどです。
超音波は、小さな漏れも確実に検出できる性能を持つため、早期のトラブル発見も期待できます。
「エア漏れが大きくなる前に問題個所を特定したい」といった現場担当者にとって、超音波の検知機器は心強い味方でしょう。
関連記事:エア漏れ検査サービス|製造工場のエア漏れ発見が困難な場所でも特定している様子を解説!
超音波でエア漏れを検査する際は向き・角度調整が重要
超音波でのエア漏れ検査は、機器の扱いで精度が変わりやすい傾向にあります。
とくに注意したいのが、リークディテクターのセンサーの向きや角度調整です。センサーが適切な向きに調整されていないと、エア漏れの音に反応することができません。
狭い空間でエア漏れが起きていたり、複雑な配管の中でエア漏れが生じていたりする場合は、とくに微調整が必要となります。
初心者の方はとくに慣れが必要な機器が多いため、上下左右に調整しながら、エア漏れを正確に検知しやすい向きを覚えていきましょう。
ちなみに、当社のエア漏れ検査サービスでは、マイクとカメラが連動しているセンサーカメラを使用しています。時間をかけてカメラの向きを調整する必要がなく、効率的かつ正確に検査することが可能です。
エア漏れを超音波で調べる際のコツ
エア漏れを超音波で調べる際には、いくつかコツがあります。
正確にエア漏れを検知するためにも、以下のコツをおさえて機器を扱ってみましょう。
リークディテクターのセンサーをゆっくり動かす
超音波でエア漏れを検査する際には、リークディテクターのセンサーをゆっくり動かすことを意識しましょう。
センサーを急いで動かすと、微細なエア漏れの音を拾い損ねてしまう恐れがあります。微小な漏れは非常に小さな音しか発しないため、丁寧に検査を行わなければなりません。
また、測定の際には、動かすスピードに緩急をつけず、一定の速度を維持しましょう。音の変化に注意を払いながら、エア漏れの可能性がある場所を探してみてください。
風の影響を受けないように対策する
超音波でエア漏れを検査する際には、風の影響を受けないように対策しましょう。
検査中に風の影響を受けてしまうと、正確な測定が難しくなってしまいます。とくに、風が強い場所では、エア漏れの音がかき消されてしまうことが多く、正確に測定できません。
なるべく、風を避けられる場所で測定することをおすすめします。もしくは、周囲の機械の稼働を一時的に停止するのも良いでしょう。
超音波カメラなら「フルーク社」がおすすめ!
現在、さまざまなメーカーからエア漏れ検出用の超音波カメラが販売されていますが、中でもおすすめなのが「フルーク社製」のカメラです。
以下では、とくにおすすめの2種類のカメラをご紹介します。
Fluke ii905 超音波カメラ
Fluke ii905は、高精度な超音波検知機能を備えたカメラです。
広範囲を短時間でスキャンでき、エア漏れの場所をリアルタイムで可視化できます。また、タッチスクリーンであるため、扱いやすく操作もシンプルです。
特別な専門知識がなくても直感的に使用できるため、超音波カメラの導入が初めての現場にもおすすめできます。
Fluke ii915 超音波カメラ
Fluke ii915は、より高性能なモデルで、騒音環境でもエア漏れを精密に検出できる設計が特徴です。
また、部分放電の検出も可能です。見えないリスクを可視化し、さまざまなトラブルを未然に防げるようサポートしてくれる超音波カメラといえます。
感度の高いカメラを探している方には、ぜひ使ってみてほしい一台です。
まとめ
エア漏れは決して珍しい現象ではありません。また、放置していても深刻な被害を受けにくいため、対応を後回しにしている現場も多い傾向にあります。
しかし、きちんとエア漏れを検知することで、結果的に省エネの実現や、設備・機器の長寿命化を図ることが可能です。
ランニングコストを含む、トータルコストが軽減できるため、定期的なエア漏れ検査・対応は必須と言えます。
超音波カメラなら、エア漏れを見逃すことなく検知できるため、ぜひこれを機に超音波カメラを活用した検査を実施してみてはいかがでしょうか。
協和機工株式会社では、超音波カメラを使用した「エア漏れ検査サービス」を提供しています。エア漏れ部分が画面に表示されるため、工場稼働中でも、手の届かない高所でも、カメラをかざすだけで簡単に検査が可能です。詳しくは「エア漏れ見える化.com」をご覧ください。