熱交換器の保全手順

MAINTENANCE PROCEDURE

 

協和機工は熱交換器、特に多管式熱交換器のメンテナンス(定期修理時における保全)を得意としております。当社では特殊工具を用いて、確実且つ安全性を追求した熱交換器メンテナンスを行っております。ここでは、当社が行っている熱交換器のメンテナンス手順についてご紹介いたします。

熱交換器の保全メンテナンス手順

手順1:本体からカバー解放

手順1:本体からカバー解放

本体のナット部分を緩めて本体とボルトを分離していきます。
写真の熱交換器は新品なので、簡単に緩みますが、実際は、屋外に雨ざらし、高温の環境で運転されているものであり、相当苦労するというのが実情です。

緩める手法はその状況から様々な方法がとられます。

(1)ハンマー&スパナ

メリット
原始的な方法。安価である
デメリット
人力である為力に限界がある。危険

(2)インパクト

メリット
エア式、充電式など様々なタイプから使用場面に合わせて選ぶことができる
デメリット
根本的に力が弱い

(3)トルクレンチ

メリット
名称の通り高トルクなので、高い安全性がありながら大きな力を与えられる
デメリット
ツールそのものが高い。付随設備が必要なケースがある(油圧式・エア式)

協和機工では以下の種類のトルクレンチを自社で保有しています。

これらの物から現場で最適な物を選んで、ナットを緩めていきます。
インパクトは汎用的なツールですが、トルクレンチは特殊な物ですので、扱うのも技術が必要になっていきます。

場面によってはナットが緩められないという場面もあります。
そのような際は以下の方法を用いてナットを切断するという作業を行います。

(1)ガス切断

ガスを使って、ボルトを切断する
油を扱う、製油所などでは、生火を使うことを極度に嫌がり、火気使用申請に大きな工数を要します。
また、ナット以外を切断もしくは、損傷させる恐れがあることも留意が必要です。

(2)ナッター(ナットスプリッター)

ナットを割る専用の特殊工具です。ナッター(ナットスプリッター)を入れる事さえできれば、ほぼ割ることができます。

協和機工では様々なボルトサイズに対応するナッター(ナットスプリッター)を自社で保有しています。

手順2:チューブバンドルの引き抜き

手順2:固定管板式(チューブバンドル)の引き抜き

ナットを緩めることができれば、次のステップへと入ります。それが、固定管板式(チューブバンドル)の引き抜き作業です。チューブバンドルを外して、この後の洗浄などができるようにしていきます。チューブバンドルの引き抜きには、以下の2つの手法が用いられます。

(1)レッカー&ワイヤー

ワイヤーをチューブバンドルに固定し、レッカーで引っ張り抜き出すという作業です。
多くの工場・プラントでは今までこの手法が一般として使われていました。
汎用的な工法である反面、海外ではその危険性からあまり好まれない方法です。

(2)ハイドロエキストラクター

上記の写真のようなチューブバンドルを引き抜くことを目的とした設備を用いてチューブバンドルを引き抜くことができます。
その安全性とスピードの速さから、この方法がスタンダードとなっている工場・プラントが徐々に多くなってきています。

協和機工では、このハイドロエキストラクターを用いた工法を主として行っています。
当社では大きさの異なる2台のハイドロエキストラクターを保有しており、日本各地へ作業員と共に派遣実績があります。

手順3:清掃

お客様のご要望によって洗浄種類を変えながら対応をしています。
扱っている流体や、保全の在り方から、指定いただくことが多く、当社はそれに従って清掃を行います。

  • 手清掃でいいもの
  • バフ掛けでいいもの
  • ジェット洗浄が必要なもの。
  • 化学薬品による、薬洗が必要なもの

手順4:非破壊検査

非破壊検査では、専門の検査業者によって検査を行っていきます。
検査内容は対象熱交換器によって異なりますが、以下のようなものがあります。

(1)水浸超音波探傷試験等

超音波を円周方向に高速回転させることで、全面の減肉、周方向 SCC などを検出する検査です。
主として、詳細検査用に用いられます。

(2)渦電流探傷試験

渦電流を発生させ、その乱れを検出することで表層部の欠陥や材質の違いなどを検査します。
試験体に接触させることなく、高速での検出が可能なため、石油化学プラントなどの熱交換器細管等に用いられます。

協和機工では、これら非破壊検査は対応していませんが、検査用の溶接線を出す作業等は行っています。

手順5:リチュービング&プラグ打設

手順5:リチュービング&プラグ打設

非破壊検査の結果、次の開放まで、機器の性能が保証できないと判断された場合、以下の方法で対策が講じられます。

(1)リチュービング

チューブを入れ替える作業を「リチュービング」と呼びます。多管式熱交換器はその形状からリチュービングができるものとできないものがあります。

具体的には上記写真のようなU型チューブバンドル(U字にチューブが曲がっている)ものは外側のチューブは、チューブを抜くことはできますが、チューブバンドル内側のチューブは、抜くことができないためリチュービングできません。

一方でストレート型と呼ばれる先端から、後端まで、まっすぐのものはどこチューブも入れ替えることが可能です。

協和機工では、熱交換器チューブの内側から切断することができるチューブインナーカッターや、切断後のチューブを自動で抜くことのできるプーラを自社で保有しています。

▼リチュービングの詳しい説明はこちら▼

熱交換器のリチュービング

(2)プラグ打設により、チューブを閉塞

プラグ打設によるチューブ閉塞も、対応策としてはよくとられる方法です。この時に、一般的なものとしても散られるのが「プラグ」と呼ばれるものをハンマーで打ち込みシール剤で止めるという方法です。

時に溶接をする場合がありますが、この、プラグを溶接するという作業が高圧ガスの機器の場合、関係官庁に申請をする必要があり、かなりの手間になることが多くあります。

協和機工では、この時に火を使わずにプラグを閉塞することができる「メカニカルプラグ」を使用する場合があります。

手順6:一圧検査&官庁検査

国による検査となります。
第一種圧力容器(通称:一圧検査)や、その他必要な官庁検査を行います。
各種検査に関しては外部機関が動くため、日付の融通が利きづらいです。
この検査に併せて作業を進めていくことを工事会社は求められます。

手順7:復各種旧作業

手順7:復各種旧作業

最後に各種復旧作業へと入っていきます。
各備品の組み上げ、チューブバンドルの復旧、カバーの復旧作業と進めていきます。
カバーの復旧作業における胴フランジの締付については、作業品質によって後のトラブルにつながるケースがあります。過去に起きたトラブル事例としては以下があります。

  • 締め付ける力が弱く、内部から液体が漏れるというトラブル
  • 逆に締め付ける力が強すぎ、次回開放の時に困る 又は 本体が損傷する

協和機工の熱交換器メンテ

協和機工では、上記のような手順で熱交換器のメンテナンスを行っております。
私達は、各種特殊工具を用いてメンテナンスを進める為、安全・効率的な工事をご提供できます。

また、当社地元である山口県内だけではなく、日本全国での工事対応が可能です。
当社も各事業所の定期修理時期は人手不足となりますので、工期も一緒にご検討いただけますと幸いです。

お問合せ